父と息子が洗面台の鏡を共有する場面は、彼らの打ち解けた親子の間柄を、稲妻のような情事のあとですぐに仕事に戻る場面は、彼らのセックスが日常化していることを教えてくれる。だが、そんなことをビデオを見ながらいちいち分析する必要はない。見ているうちに、自然に、理解できるようになるからである。同じ映画をくり返し見ていると、なんでもない平凡な場面が目につくようになってくる。たとえば、ベッドはたいてい寝室の中央に置かれていて、その枕元にはかならずスタンドなどが載っているコンソール(操作台)がある。またベッドの左側には電話があり、それが夜中に鳴ると、たいてい女性のほうが目を覚まして取る。あるいはキッチンの調理台は壁ではなく、食卓のあるほうに向いていて、食卓を囲んだ家族と顔を見ながら対話できるようになっている、などである。映画を通じた文化理解が進んでいくのである。